帯状疱疹
帯状疱疹
帯状疱疹は、体の神経が分布している部位に沿って帯状の赤い発疹ができ、強い痛みを発するウイルス性の疾患です。また、神経は左右、体に沿って分布しているため帯状疱疹では左右どちらか
帯のように症状がでるのが特徴です。
帯状疱疹は、子供の頃に感染した水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因です。
最初に感染したときは水ぼうそうになり、水ぼうそうが治ったあとでも、脊髄から出る神経節という部位に潜んでいます。
健康なときは体の免疫力によってウイルスを抑えているため発症しませんが、加齢、疲労、ストレス、病気などで免疫力が低下するとウイルスは再活性化します。そして、ウイルスは神経に沿って
神経節から皮膚へと移動し、帯状に痛みやかゆみ・赤い発疹・水ぶくれができます。発疹が出る前に先に痛みが出て、数日後に発疹が生じることも多くあります。
治療は発症後できるだけ早期にウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス薬を1週間内服します。
発疹は徐々にかさぶたになって治っていきますが、痛みがしばらくの間残ってしまう方もいらっしゃいます(帯状疱疹後神経痛)。
50才代から帯状疱疹の発症率は高くなり、80才までに約3人に1人が帯状疱疹になると言われています。
帯状疱疹の発症率を低減させ、重症化を予防し、帯状疱疹後神経痛を予防・軽減させるために、帯状疱疹ワクチンの予防接種をお勧めします。
帯状疱疹の予防には、主に50歳以上の方を対象としたワクチンがあります。水ぼうそうにかかったことがある人は、すでに水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を獲得していますが、年齢とと
もに弱まってしまうため、改めてワクチン接種を行い、免疫を強化することで帯状疱疹を予防します。予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、たとえ発症しても症状が軽くすんだり、帯状疱疹後神経痛などの後遺症の予防につながるという報告があります。
帯状疱疹ワクチンには「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類のワクチンがあります。
「生ワクチン」とは病原性を弱めた細菌やウイルスそのものを成分としたワクチンで、「不活化ワクチン」とは、病原性をなくした細菌やウイルスの一部を成分としたワクチンです。
水痘ワクチン(生ワクチン)は1回接種で済み費用は比較的安価ですが、効果持続期間や予防効果はシングリックス(不活化ワクチン)に比べると劣ります。
シングリックス(不活化ワクチン)は2回接種が必要で費用も高価となりますが、効果持続期間や予防効果は水痘ワクチン(生ワクチン)に比べると高くなります。
商品名 | 水痘ワクチン | シングリックス |
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ワクチンの種類 | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
対象者 | 50才以上 | 50才以上または帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18才以上 |
接種回数 | 1回 皮下注射 | 2回(2ヶ月間隔) 筋肉注射 |
発症予防効果 | 60才以上で51.3% | 50才以上で97.2% 70才以上で91.3% |
帯状疱疹後 神経痛予防効果 |
66.5% | 88.8% |
持続効果 長期予防効果 |
約5〜8年程度 | 10年後でも80%以上 |
副反応 |
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*シングリックスの方が水痘ワクチンより副反応の発現率はやや高いとされています |
接種不適当者 |
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費用 | 1回 7,700円(税込) | 1回 22,000円(税込)×2回 計 44,000円(税込) |